半年振りに大聖堂に辿り着いた私は、その状態に目を見開く。
 私はかつて大聖堂がここまで悲惨な状態になったのは見たことがない。

 入り口から伸びる長蛇の列。周囲に伸び放題の雑草。今までぴかぴかだった大理石の床は汚れに汚れ、そこら中に呻く患者が寝かされている。

「酷いわね……」
「世界有数の大国の王都とは思えませんね。これは一体、何が……?」

 私はその間を縫って内側に入り込み、なんとか治療室への扉を開けた。
 するとそこには、鬼気迫る表情で働く聖女たちの姿があった。

「そっちが終わったら次はあっち! 血だけでもとりあえず止めといて!」
「誰か鎮静剤! それと包帯! 箱で持ってきて!」
「この患者処置終わったけどどこへ持って行けばいいのよ!」

 この世の地獄……。まさにそんな中で私は、一際必死に声を張り上げる小柄な聖女の元に寄って行く。