ギーツ様たちは一旦王城へと報告に戻るのか、馬車の中に戻って行った。

 しかし、道中どうしても私の背中に残った嫌な気配が離れてくれない。

 それはきっと、妹の口元があの丁重な態度を裏切るように冷たく歪んでいたから――そんなことに私が気付いたのはずっと後。これから大事なものを失おうという、もはや手遅れになった時のことだったのだ……。