――そして、交渉当日。

 ジュデット王城の最高級の応接室に私たちは顔を揃えていた。立派な衣装を纏った陛下と殿下は、まるで戦地に赴くかのような張り詰めた表情を抱いている。

 私もミーヤたちに頼み、用意してもらったジュデット王国の正装を身に纏う。

「お二人とも、申し訳ありません……私のせいで」

 何度目かも分からない私の謝罪に、陛下と殿下は表情を和らげる。

「何を言う。そなたは我が国に幸福をもたらしこそすれ、迷惑をかけたことなど一度もない。今日は我々に任せ、何の心配もせず胸を張っておればよい」
「そうだよエルシア。こんな形で君を返すことになるのは不本意だが、彼らには必ず君に危害を加えないことを約束させる。我が国の名誉にかけて」
「ありがとうございます……」