「懐かしいな、ここに来るのは……」

 その食堂は王宮の庭園の脇に面していて、よく陽が当たる。
 人目に付かないようガードしてくれたミーヤとメイアに礼を言うと、私は声に緊張と懐かしさを滲ませた殿下を連れ、その扉を静かに開けた。

 晴れた日はいつもするように、本日も陛下たちは、外のテラス席に座って談笑をしていた。
 その姿を殿下はじっと眺める。

「私は……いいのかな、あの中に混ざっても」
「今さら何を言ってるんですか? 行きますよ!」
「ま、待ってくれよ……」

 埒が明かないと殿下を引っ張っていく中、私たちの姿を一番に気付いたのは陛下だ。しかし驚いたりすることはなく、自然に私たちを迎え入れてくれる。

「おお、クリスよ、お前がこの場を訪れるとは珍しい。じゃがよいことじゃ。早く座るがいい」