「それじゃ、また後でね」
「「行ってらっしゃいませ、エルシア様」」
(さぁて、今日はどうしようかなあ。いっそのこと、外から帰って来るのを城門で待ち受けようかしら)

 この広い王宮で人一人を探そうというのは、中々難しいものだ。
 あれからどうにかして殿下の姿を見つけようと苦心したものの、結局会えないまま数日が経つ。

 陛下たちに許可を受け、殿下の私室を尋ねても見たのだが、あいにく不在の時ばかり。

 今日はどこを探そうかと思い悩みながら、ミーヤとメイアに見送られて部屋を出た私は、そこで驚くべき光景を目にした。

「や、お早うエルシア」
「で、ででで殿下!? どうしてここに……」

 廊下の壁に寄りかかった殿下が片手を上げた。
 彼との気まずい状態も忘れて走り寄る私。
 すると殿下はぎこちなく微笑んで、ゆっくりと腰を折り許しを乞うた。