矢が抜けて血が溢れ出すがろくに痛みも感じず、どんどん視界が狭く、暗くなる。

 命を取り留められるかどうか分からない。
 死にそうな人の気分ってこんななのか、早まったかなと思いつつ、徐々に保てなくなる意識の中に思い浮かんだのはしょうもない愚痴だけだ。

 まさかやっとこさ激務から解放され、王都を出たのにすぐ死に瀕することになるとか、私の人生って切ないなぁ。

 せめて、あんな仕事漬けの毎日じゃなく、もうちょっとだけ年頃の女の子らしい楽しい生活を送りたかった……よ。