だから我輩はわざと、およそ彼の意に沿わないだろうという選択を提示する。
「では仕方ありませんな。今のうちにエルシアを向こうに戻してやらねば」
「それは……!」
椅子を鳴らし立ち上がる彼の態度が示すのは明確な拒絶だ。
だが私は遠慮せずに続きを言った。
「もし、セーウェルトが確実な証拠を元に、聖女を盗んだとジュデットを糾弾してくれば、殿下がセーウェルトに侵入していたことも含め、それは我が国の非となりましょう。それを掴まれる前に、エルシアを返さねば他の国からも非難を受けかねない。我が国がセーウェルトと友好を結び、人間たちに魔族の存在を認めてもらうためにそれは大きな回り道となる」
「ああ……そうだな。それは、そうだ」
苦々しい口調で殿下は呟く。
こんなことは我輩の口から言わずとも、聡明な殿下ならお判りのはずだ。
だが、殿下の口からは決断の言葉は紡がれない。よって私は単刀直入に訪ねてやった。
「では仕方ありませんな。今のうちにエルシアを向こうに戻してやらねば」
「それは……!」
椅子を鳴らし立ち上がる彼の態度が示すのは明確な拒絶だ。
だが私は遠慮せずに続きを言った。
「もし、セーウェルトが確実な証拠を元に、聖女を盗んだとジュデットを糾弾してくれば、殿下がセーウェルトに侵入していたことも含め、それは我が国の非となりましょう。それを掴まれる前に、エルシアを返さねば他の国からも非難を受けかねない。我が国がセーウェルトと友好を結び、人間たちに魔族の存在を認めてもらうためにそれは大きな回り道となる」
「ああ……そうだな。それは、そうだ」
苦々しい口調で殿下は呟く。
こんなことは我輩の口から言わずとも、聡明な殿下ならお判りのはずだ。
だが、殿下の口からは決断の言葉は紡がれない。よって私は単刀直入に訪ねてやった。



