「あんなことはもう二度とするな。今度やったら、私は君を許さない」
(……どうしてよ。どうしてそんなこと言うのよ)
殿下は乱暴に私の手を取ると、林の中を引っ張ってゆく。
私としても彼が喜んでくれると思っていたわけではない。
けどそこまで怒られる理由が分からなくて。
私はその手を振り払うこともせず、ただ黙って鼻を啜りながらとぼとぼと後に続いていった。
……そしてそのまま、私たちは気づかなかった。そんな二人の姿を木の影から伺っていた人影が、その場からそっと姿を消していったのを。
(……どうしてよ。どうしてそんなこと言うのよ)
殿下は乱暴に私の手を取ると、林の中を引っ張ってゆく。
私としても彼が喜んでくれると思っていたわけではない。
けどそこまで怒られる理由が分からなくて。
私はその手を振り払うこともせず、ただ黙って鼻を啜りながらとぼとぼと後に続いていった。
……そしてそのまま、私たちは気づかなかった。そんな二人の姿を木の影から伺っていた人影が、その場からそっと姿を消していったのを。



