平和ボケした私が、殿下をこんなところに連れ出してしまった。この国は安全だと勝手に思い込んで、彼が必要最低限の護衛しか付けて動かないのを知りながらも、警護の手薄な場所に連れ出してしまった。

「どうしよう……どうにかしなきゃ」

 今から走って馬車で待つ護衛を呼びに行くというのは現実的ではない。
 殿下頼りで私はここまでの道をあまり覚えていないし、よしんばうまく辿り着けても小一時間はかかる。その間に殿下が捕まったり……傷つけられたりしたら!

「このままここで座ってちゃダメだ……!」

 私は意を決して立ち上がり、茂みを飛び出す――。



 幸い、相手の人数はきっとそれほど多くは無い。