「その命、もらい受ける!」
「ふざけたことを!」

 殿下は私の手を離すと前に立ち塞がり、男の攻撃を受け流すとその腕を斬り付ける。悲鳴と共に、手から離れた剣が地面に突き立った。

 殿下はもう呻く男を見てはおらず、私を連れて林の中を右へ左へ駆けまわる。
 背中側から、何本も梢に矢が付き立つ音が響く。
 私は訳も分からず、殿下の指示に従うしかなかった。

(一体、あいつらは何者なの……!?)