「――ルシア……エルシア!」
「……はぁい?」
小さいけれど鋭い声に、私は目を開ける。
隣りに殿下がいたというのに、どうやら心地よすぎてあのまましばらく寝入ってしまっていたようだ。大自然のパワー、恐るべし。
そしてしょぼしょぼした目をこすり、その場から体を起こそうとした私の目に入ったのは。
「―――っ!? あだっ!」
上にかぶさるようにして私の肩を揺すっていた殿下の大写しのお顔であった。
美形って凄いわ……間近で見ても粗が見えないどころか、より美しい部分が強調されて魅力が五割増しで見えるんだもの。こんな人の隣で何も感じずにぐーすかと寝息を立てていたんだから、私は女として失格ではないだろうか。



