車窓から見える景色を眺めつつ、ジュデットとの王都から約二時間ほど竜車で移動した後……私たちが訪れたのは王都近郊の森林である。着いてきた数名の護衛たちも車に待たせ、本日は二人だけの散策だ。

 でも、あれから未だプリシラ院長とは話せていない。その時の事を考えると、どうしても少し気分が重くなってしまう。

「エルシア、どうしたの立ち止まって。何か心配事でもあるのかい?」
「い、いえ……! ちょっと大自然に圧倒されちゃって……」
 
 今は隣に殿下も居るのだから、そればかりを考えていても仕方がない。せっかく今日私は初めて王都から外に出て、ジュデットの自然に触れているのだから、しっかりと楽しむべきだ。

「わあぁ……! 綺麗な森」

 王宮の薬草園も素晴らしいものだけど、こうしてジュデットの雄大な自然環境に直面してみると、大きな感慨が湧き上がる。はてさて、セーウェルトといったいどのような違いがあるのか楽しみだ。

「木の根に足を取られないよう気を付けるんだよ」