「ええ、分かりました。丁度殿下に魔族の姿に成れる道具を頂いたところなので、誰かに同行を頼めば大丈夫だと思います」
「よかったぁ……。ありがとうエルシアさん。これからも僕で手伝えることがあれば何でも言ってくださいね! この国にある薬のことなら大抵の御相談には乗れると思いますから!」
「ええ、頼りにさせてもらいます」

 彼の気持ちを有難く受け取りつつ、私は紙片を眺める。そこには、『ジュデット国立診療所院長 プリシラ・ヴォ―ド』、と、ベッカーの肩書にも負けなさそうな立派な地位の一人の人物の名と手書きの地図が記されていた。