ローエンさんは残念そうに苦笑する。王宮内では地味な仕事の一つだろうし、人が集まらないのも無理のない事なのかも知れない。
なるべくならここに居る間は出来る限り手伝ってあげよう。そんな決意を私が独りで抱く中、懐かしそうな視線を落としながらお茶のカップを手の中で揺らしていたローエンさんが、不意にくすりと笑う。
「……それにね、僕の前にここを管理されていたお爺さんが少し気難しい方で、気に入らない方を中に入れたがらなかったのですよ」
「それって……」
私はテーブルに置かれていた栽培記録の一つに目をやる。
その表紙には、前任者のものか、ヨアヒム・ランダルバートという名前が書かれていた。
「ヨアヒムさんについては、ベッカーさんから聞いていませんか?」
「ええ。あの人、あんまり自分に関係する事は言いたがらないですよね。偉そうな割に自慢もしたがらないし……もしかしてベッカーの、お父さんなんですか?」
「ええ、その通りです」
なるべくならここに居る間は出来る限り手伝ってあげよう。そんな決意を私が独りで抱く中、懐かしそうな視線を落としながらお茶のカップを手の中で揺らしていたローエンさんが、不意にくすりと笑う。
「……それにね、僕の前にここを管理されていたお爺さんが少し気難しい方で、気に入らない方を中に入れたがらなかったのですよ」
「それって……」
私はテーブルに置かれていた栽培記録の一つに目をやる。
その表紙には、前任者のものか、ヨアヒム・ランダルバートという名前が書かれていた。
「ヨアヒムさんについては、ベッカーさんから聞いていませんか?」
「ええ。あの人、あんまり自分に関係する事は言いたがらないですよね。偉そうな割に自慢もしたがらないし……もしかしてベッカーの、お父さんなんですか?」
「ええ、その通りです」



