国と国との間の問題だ。そんなに簡単に行かないことはわかっている。
 でもジュデットの人々は、少なくとも殿下たちは人間たちに心を開こうとしている。
 ならば、セーウェルト人は――私たちはもっと彼らの気持ちを受け入れる努力をするべきなんじゃないのかな……。

「どうしましたかエルシア様。お疲れですの? メイアが特別にマッサージでも致しましょうか? それとも私たちとお揃いになるよう、髪をお上げになります?」

 表情を曇らせた私に、首に抱き着くようにして囁くメイア。彼女は初めて出会った時から随分フレンドリーに接してくれる。そのおかげで私も肩肘張らずこの場所で過ごすことが出来るから、とてもありがたく感じている。

「う~ん、どうだろう。あんまりやったことないから、変に見られないかな」
「たまには髪をお上げになって、首元をお見せになるのもよろしいではありませんか。気分も上向きますし、色っぽさが増して、殿方に好まれるかもしれませんよ。例えば、殿下とか……」
「な、なんでそこで殿下の名前が出てくるのよ……!」
「さあ、どうしてですかしら? ミーヤ」
「どうしてでしょうねぇ、メイア」