私の誉め言葉に、ローエンさんは嬉しそうに同意する。

「でしょう? 流石に王家の所有する特別な薬草園ですから、代々の管理人がそれはもう丹精込めて手入れをしてきたのです。たしか、エルシアさんはセーウェルトの出身でしたね。そちらでは見慣れないものも多いでしょう。周りに気を付けてさえいただければ、自由に見ていただいて構いませんよ」
「本当ですか!?」
「ええ。でも、その代わりと言ってはなんなのですが……」

 小躍りするような気持ちを隠しきれない私に、彼は何か交換条件があるようだ。
 遠慮したように口ごもったローエンの言葉を引き継いだのはベッカーだった。

「ま、この男も同業者だ。言わんとしているところはわかるんじゃないか?
「あー、もしかしてセーウェルトにある薬草の話を聞きたいってところ?」
「そうだな。後、お前が国から持って来た薬草をぜひ見せてもらいたいそうだ」
「すみません……不躾なお願いをして」

 ローエンは小さい身体をさらに縮こませ、顔を赤くする。