内容は、聖女の力についてだ。聖女の力の修練法や、心構えなどは興味がなく読み飛ばしたが、その中に少し気になる記述もあってこうして暇つぶしに目を通している。

(ま、どうせこんなの一時的なものよ。どいつもこいつも必死なふりして怠けてるだけなんだから、切羽詰まれば本気出すわ。数か月もすりゃこの事態もどうせ収まるに決まってる。最悪わたしが全部片をつければいい話なんだし、次期王妃になるためにはこのくらい乗り越えてやるわよ)

 自分の力の過大評価と、姉の力の過小評価。

 それが今も真綿で首を締めるようにじわりじわりと……自分の背中を地獄へ追いやっていることを、リリカは考えもしない。

 彼女はどこまでも傲慢で、傲慢だからこそリリカなのだ――。