――王女様が倒れた後の流れはこうだ。

 再度体調を崩した彼女の身体を宮廷医療棟へ戻し、回復を待った後、私はベッカーに説明してあることを試してもらった。

 いくつかの食材から抽出した成分を彼女の皮膚に塗布して反応を調べてみたのだ。

 その中でひとつ強い反応があったのは、ジュデットでよく食物に使われているクアンダと言われる刺激の強い香辛料。外見はアーモンドによく似ているが、中は真っ赤で激辛。誤って口にすると酷いことになる。

 その成分を肌に塗ってすぐ、ぽつぽつと赤い吹き出物が出だした。

 医療棟に移った後その症状が押さえられていたのは、病人食のためあまり刺激物を使っていなかったためだと思われる。これにはベッカーも盲点だったとしきりに反省していた。

 王宮の料理人にそれを伝えると、半信半疑ながらすぐに対応してくれ、以後症状はまったく出ていない。もう一安心といったところだろう。