次の日の朝も7月1日だった。
だけどもう心の鉛は取れている。

《昨日》母親と会話できたことで、スッキリとした気持ちで身支度を整えた。


「あら、今日はご機嫌ね?」


リビングでテレビを見ていた母親が嬉しそうに声をかけてくる。


「うん。今日はデートだし、もしかしたらそろそろかも」


意味深な言い方をすると母親の目が輝いた。


「そうなの。お母さんは大歓迎よ」

「うん、わかってる」

「なにかあったら連絡しなさい?」

「ありがとう。じゃあ、行ってくるね!」


達也がチャイムを鳴らす前に玄関に出る。
そのタイミングで達也が乗っている普通車が敷地内に入ってきた。


「達也、おはよう」