「無理。帰る」


彩は無情にもそう宣言すると、知明から買い物の荷物を奪うようにして手荷持つと、大股で歩き出した。
信じれれない!

歩きながら彩の頭は怒りで爆発してしまいそうだった。
今日1日知明の言動をさぐるつもりでいたけれど、もう限界だった。

よくあんな素知らぬ顔ができるわね!
憤慨して大股で歩く。

後ろから知明が慌てて次いてくるけれど、彩は振り返らなかった。
その目に微かに涙がにじむ。

本当は自分の誕生日をこんな風に終えたくなんてなかった。
だけど見てしまったのだ。

昨日、知明が彩の女友達とふたりで歩いているところを……。