《昨日》は大きな変化があった日だと気がついて、すぐにまたスマホに飛びついた。
映画や小説の中では小さな変化だけれど、舞にとってはおおきな変化。

それは聡とアドレス交換をしたことだった。


「あ……」


登録されているはずの番号を確認して、舞は小さく声を出してそのままフローリングの床に座り込んでしまった。
聡と番号交換をしたのは《昨日》の5月15日だった。
だから、聡の番号は跡形もなく消えていたのだ。

途端に舞の胸にポッカリと穴が開いたような寂しさを感じた。
油断すれば今度こそ泣いてしまいそうな孤独感。

舞は自分自身の感情に驚いていた。
1度目の5月15日なら、きっとここまで辛い気持ちにはならなかっただろう。

聡に告白されたことを嬉しく思っていたが、そういう目で見たことがなかったから断るしかないと思っていた。
でも、今は違う。

舞はスマホを胸の前でギュッと握りしめて、聡の顔を思い出していたのだった。