桜花「……今でもWEB対局をなさっていますわよね、奨励会を退会なさった後からもずっと」

翡翠「そう、息抜きに。それと君を将棋に誘ったのは俺だから」

桜花「翡翠さんが奨励会に居た頃のこと、わたくしは知りませんけれど、翡翠さんが将棋を好きなのはわかりますわ」

翡翠「君が強くなっていくのを見ているのは、嬉しいんだ」

桜花「私、将棋を教えていただいて救われましたわ。だから、もっともっと強くなりたい。強くなれますわ。翡翠さんが見ていてくださるんですもの」

飛行機の出発時間が迫っている。

翡翠は桜花の首にお守りを そっとかける。

翡翠「今朝、八幡宮でいただいてきた。時間だな。桜花、応援している」

桜花「ありがとうございます」

桜花は翡翠が見送る中。

数回、手を振ると意を決したように搭乗口へと向かっていく。