新そよ風に乗って ⑦ 〜Saudade〜

きっと、 私が言いやすいように仕向けてくれている。 それが、 何となく手に取るように分かって涙が溢れた。
ミサさん……ごめんなさい。
私には、 ミサさんのように高橋さんを騙せない。 その能力に欠けている。 ミサさんのようには、 強くなれない。
「ごめんなさい。 私……私……」
どう説明して良いのか分からず、 両手で顔を覆った。
「落ち着いて。 俺は、 逃げないから。 此処に居るから」
自分の気持ちが勝ってしまった私は……罪深い人間と、 ミサさんに言われてしまう。 
ごめんなさい。 ミサさん。
「高橋さんは……ミサさんとの間に子供を作るかもしれないから……だから、 だから私との別れを……ごめんなさい。 私……ミサさんとの約束を……」
そこまで言って、 泣きながら高橋さんを見た。
すると、 椅子に座っていた高橋さんが両肘をベッドの端に突いて、 両手を組みながら私をジッと見た。
「ミサに……会ったのか?」
もう、 全てが壊れてしまった。 ミサさんのお子さんの命を思うと、 なんて事をしてしまったんだろう……。
涙が頬を伝っていてもお構いなしに、 黙って高橋さんを見ていた。
「そうなのか?」
今まで見た事のない高橋さんの瞳は、 鋭くありながらも何故か戸惑っているように見えた。
「高橋さん……もう……いいんです。 私なら、 私の事なら大丈夫ですから」
「……」