「もし……拒絶反応が出て貴博が亡くなってしまっても、 それでも貴方は平気なの? 平気で彼と付き合えるの? 人1人の命を踏み台にしてまで。 でも……もしそうなったら、 やっぱり貴女達は上手くは行かないでしょうね。 貴博は、 絶対貴女と別れる。 そして、 哀しんで、 後悔して、 自分を責めて。 そんな人生を、 貴女は貴博に送らせるの? 人殺しの父親にさせてもいいの?」
「そんな……」
そんな思いを、 決して高橋さんにはして欲しくない。
人1人の命……。
点滴も終わってしまい、 アラームが鳴っている事すら気にも留めず、 これからどうしたらいいのか? 高橋さんにとって、 いちばん良い選択は何なのか? それをぼんやりと考えていた。 ただ、 ただ、 高橋さんには哀しい思いだけはして欲しくなかった。 そして、 看護師さんが夕方の検温で私がいない事に気づき、 慌てて捜しに来てくれた時にはすっかり日も暮れて、 4月上旬とはいえまだ日が落ちると肌寒く、 抱えられるようにして病室に戻ったが、 すっかり冷え切ってしまった心と身体はまた悲鳴をあげ、 高熱を出してしまっていた。
熱のせいもあって夕飯も食べられず、 眠れずに目を閉じるのが恐くて天井を眺めていると、 会社の帰りの高橋さんが姿を現した。
点滴もまた増えて、 私のあまりの変貌ぶりにドアを開けた途端、 高橋さんは驚いた様子だったが、 直ぐにベッドの脇まで来ると静かに椅子に座って私の顔を覗き込んだ。
「明良から聞いた。 どうした?」
昼間、 ミサさんに言われた事で……子供の命を助けたい気持ちと私との狭間で、 高橋さんはどれほど悩み苦しんでいたのか。 だから、 あんなにまでして私との別れを望み、 頑なに自分の我を通そうとしたのは、 そういう事があったからだったんだ。 そんなことも知らずに、 私は……。
『 人1人の命が、 かかっているのよ! 』
ミサさんの言葉が体中を駆け巡るように、 熱が高いせいか何度も空耳のように聞こえてくる。 その度に、 体の節々が痛くなる。
「そんな……」
そんな思いを、 決して高橋さんにはして欲しくない。
人1人の命……。
点滴も終わってしまい、 アラームが鳴っている事すら気にも留めず、 これからどうしたらいいのか? 高橋さんにとって、 いちばん良い選択は何なのか? それをぼんやりと考えていた。 ただ、 ただ、 高橋さんには哀しい思いだけはして欲しくなかった。 そして、 看護師さんが夕方の検温で私がいない事に気づき、 慌てて捜しに来てくれた時にはすっかり日も暮れて、 4月上旬とはいえまだ日が落ちると肌寒く、 抱えられるようにして病室に戻ったが、 すっかり冷え切ってしまった心と身体はまた悲鳴をあげ、 高熱を出してしまっていた。
熱のせいもあって夕飯も食べられず、 眠れずに目を閉じるのが恐くて天井を眺めていると、 会社の帰りの高橋さんが姿を現した。
点滴もまた増えて、 私のあまりの変貌ぶりにドアを開けた途端、 高橋さんは驚いた様子だったが、 直ぐにベッドの脇まで来ると静かに椅子に座って私の顔を覗き込んだ。
「明良から聞いた。 どうした?」
昼間、 ミサさんに言われた事で……子供の命を助けたい気持ちと私との狭間で、 高橋さんはどれほど悩み苦しんでいたのか。 だから、 あんなにまでして私との別れを望み、 頑なに自分の我を通そうとしたのは、 そういう事があったからだったんだ。 そんなことも知らずに、 私は……。
『 人1人の命が、 かかっているのよ! 』
ミサさんの言葉が体中を駆け巡るように、 熱が高いせいか何度も空耳のように聞こえてくる。 その度に、 体の節々が痛くなる。


