そんな今日も良いお天気で、 もう桜も散って新緑の若葉の季節になろうとしている4月上旬。 木々から芽吹いているみずみずしい新芽を見て、 清々しい気持ちになり、 元気をもらえるなどと思ったりしながら、 点滴のキャスターを引っ張って躓かないように気をつけてゆっくり歩きながら、 いつもの定位置のベンチに腰掛けた。
背中から照りつける眩しい日差しを少し暑いぐらいに感じながら、 それが本の活字にも反射して文字が読みにくく、 太陽に背を向けているのに目を細めてしまう。 日だまりの中で、 半分眠くなりながら同じ行を何度も読み返しては、 ついウトウトしてしまっていた。
「あら?」
不意に後ろから女性の声がして、 驚いて目を開けて振り返ると、 つばの広い帽子を被った背の高い女性が立っていた。
誰だろう?
太陽の日差しが眩しくて、 逆光で顔がハッキリ見えない。
本を膝の上に置いて目を細め、 左手をおでこに翳しながら日陰を作って、 やっとその女性の顔を確認した。
嘘……でしょ?
「確か……貴女。 貴博の病室で、 一度お会いしたわよね?」
その姿と声に、 息が苦しくなってきて全身が震え出してしまった。
私に声を掛けながら、 座っているベンチの前に立った女性。 その人は、 ミサさんだった。
「どこか、 具合でもお悪いの?」
私の今の姿を見て、 ミサさんはそう言った。
「はい……あの……ちょっと、 風邪をこじらせてしまって……」
「それは、 大変ね。 風邪は、 万病の元だから気をつけて。 少し……いいかしら?」
「は、 はい」
ミサさんが、 隣りに座った。
どうしよう……こんな事が……ミサさんが、 私のすぐ隣に座っている。
昔……高橋さんが、 愛した人。
そして、 高橋さんと今隣に座っているミサさんとの間には、 子供が存在している。 その子供に高橋さんは骨髄移植をして、 その事で高橋さんと私は……。 あんな苦しい日々を思い出しただけで、 胸が締め付けられて気分が悪くなりそうだった。
「貴女……貴博の彼女なのね」
「まだうちの子、 入院しているのよ。 ご存じなんでしょう? 私と貴博の事」
背中から照りつける眩しい日差しを少し暑いぐらいに感じながら、 それが本の活字にも反射して文字が読みにくく、 太陽に背を向けているのに目を細めてしまう。 日だまりの中で、 半分眠くなりながら同じ行を何度も読み返しては、 ついウトウトしてしまっていた。
「あら?」
不意に後ろから女性の声がして、 驚いて目を開けて振り返ると、 つばの広い帽子を被った背の高い女性が立っていた。
誰だろう?
太陽の日差しが眩しくて、 逆光で顔がハッキリ見えない。
本を膝の上に置いて目を細め、 左手をおでこに翳しながら日陰を作って、 やっとその女性の顔を確認した。
嘘……でしょ?
「確か……貴女。 貴博の病室で、 一度お会いしたわよね?」
その姿と声に、 息が苦しくなってきて全身が震え出してしまった。
私に声を掛けながら、 座っているベンチの前に立った女性。 その人は、 ミサさんだった。
「どこか、 具合でもお悪いの?」
私の今の姿を見て、 ミサさんはそう言った。
「はい……あの……ちょっと、 風邪をこじらせてしまって……」
「それは、 大変ね。 風邪は、 万病の元だから気をつけて。 少し……いいかしら?」
「は、 はい」
ミサさんが、 隣りに座った。
どうしよう……こんな事が……ミサさんが、 私のすぐ隣に座っている。
昔……高橋さんが、 愛した人。
そして、 高橋さんと今隣に座っているミサさんとの間には、 子供が存在している。 その子供に高橋さんは骨髄移植をして、 その事で高橋さんと私は……。 あんな苦しい日々を思い出しただけで、 胸が締め付けられて気分が悪くなりそうだった。
「貴女……貴博の彼女なのね」
「まだうちの子、 入院しているのよ。 ご存じなんでしょう? 私と貴博の事」


