お弁当が2つ入ったバックを手にわたしは音楽室の扉を開けて、サッと素早く中に入った。

毎度毎度、ここに入る時は緊張する。


「久しぶり、柚音ちゃん」

「久しぶりだね、善くん」


彼はもうすでに来ていて、先に机に座って待っていた。

ここ数日は画面の中の善くんしか見れなくてちょっぴり寂しかったからこうしてわたしを待っていてくれていることがすごく嬉しい。

わたしは善くんに出会ってからというものすっかりアイドルユニット“Sirius”のファンになっていて、ファンクラブまで入ってしまったくらいハマっていた。


「はい、これ」


善くんの前の椅子に腰を下ろして、ポケットに忍ばせていた袋に入ったキーホルダーを取り出して渡した。


「あー、柚音ちゃんに似てるクマね。ありがと」


かなりお久しぶりの善くんは相変わらずわたしのことを気に入っているらしい。