パーフェクトな君の弱点。



「善って呼んで」

「……無理無理!」

「なんで?俺は下の名前で呼んでるのに」

「そ、それは漆葉くんが勝手に呼ぶから……!」


わたしが呼んでって言ったわけじゃないし。
善くんなんて呼んでみんなにバレたらそれこそ大変だ。


「俺も下の名前で呼ばれたい」


そう言って下からわたしのじっと見つめてくる漆葉くんの破壊力は半端ないのだ。

その綺麗な顔面をフルに使ってわたしを惑わせてからかってくる卑怯なやつ。


「ぜ、善くん……」


そんな彼にすぐに負けてしまうわたしもわたしなんだけど。


「ん?」


うっ……そんな可愛い顔で見つめないで。
わたしの心がズッキュンと撃ち抜かれてしまう。


「そういえば、さっきここ立ち入り禁止って……」


思い返せば女の子たちはそんなことを言っていた。

音楽室って立ち入り禁止だったの!?
どうしよう、わたしはまた罪を重ねているのでは!?