「み、見ないで……っ」
「それは無理かな。可愛いし」
ふわり、と笑い、わたしをそのアーモンドみたいな瞳に映す。
また、からかわれている。
「ほら、ご飯食べよ」
わたしと漆葉くんの体が離れていく。
漆葉くんはこんなの慣れているんだろうなあ。
なんか手馴れているし、ドラマにも出てるってネットに書いてたし。
どうせ、顔を真っ赤にさせてドキドキするのもわたしだけなんだろうなあ。
こんなの、漆葉くんのただの気まぐれに過ぎない。
わたしは黙って彼に従い、机に持ってきたお昼ご飯のお弁当を広げる。
「作ってきたの?」
「うん。節約のためにね」
自炊しないとお母さんに怒られるし、これでも料理や家事、洗濯はできるほうだと思っている。
「ふーん、そういうところはしっかりしてんだ」
「わ、悪口?」
いま、そういうところ以外はポンコツだってディスられたよね?
ひとつの机を挟んで、わたしの前に座っている漆葉くんはお弁当を物珍しそうに見ている。



