パーフェクトな君の弱点。



誰かに見られてないから心配だ……。

思わず、キョロキョロ周りを見渡して挙動不審なやつみたいになってしまう。

音楽室の前まで着いてもう一度周りを確認してガラッとドアを開け、中に入る。


「はあ……こんなの心臓に悪いよ」


毎度毎度、こんな隠れて怯えながら来ないといけないなんて寿命が縮まりそうだ。


「何が心臓に悪いの?」

「う、漆葉くん……!」


グランドピアノの椅子に座って、ピアノに頬杖をつきながら意地悪そうに笑いながらこちらを見ている。


もういたの!?
てっきり、まだ来てないもんだとばかり思ってたよ。


漆葉くんはチラリとドアの外を見ると、足早にずんずんとこちらにやってきてわたしの口を抑えると、そのままくるりと回転し、一緒に壁にもたれて、しゃがみ込んだ。