「はあ~……入学初日から疲れた」
ため息をつきながらやっと家の前まで辿り着いた。
これも全部、漆葉くんのせいだ。
早く入ってクマのぬいぐるみにダイブしよう。
カバンの中にある鍵をゴソゴソと探していると、
「柚音ちゃん、おかえり」
隣からそんな声が聞こえて、パッと弾けるように顔を上げた。
だって、今度こそ、そんなはずないじゃん。
「な、なんで漆葉くんが!?」
まさかストーカー!?
「おい、ストーカーじゃねえからな」
心まで読まれてる!?
怖い怖い。
いくらなんでも怖すぎるよ。
「全部、顔に出てる」
「ええ!?」
それはそれで恥ずかしいんだけど。
でもなんで漆葉くんがわたしの家まで……?



