パーフェクトな君の弱点。



「んー、じゃあ今日はお預けってことで」


回されていた腕が離れ、ひょいっと体を持ち上げられて立たされた。


「ちょっと、漆葉くん……!」


「ここですることは全部内緒だよ、柚音ちゃん」


「な、なんでこんなことするの!?」


なんでよりにもよって、わたしなんだ。

漆葉くんぐらいのトップを誇る人気アイドルならもっと可愛い子がいるはずだし、芸能界なんて可愛い子だらけじゃん。


「俺、お前のこと気に入っちゃった」


ずいっとわたしの耳元に口を寄せて、ぼそっと囁かれた言葉。

かああっと赤くなっていくわたしをみて、漆葉くんが満足そうに笑った。


どこでどうわたしのことを気に入るところがあったのか意味不明すぎる。


「じゃあ、またあとで」


そんな意味深な言葉を残して漆葉くんは放心状態のわたしを置いて出ていった。