「ここって、どこ……?」
「だーかーら、ここだってば」
そう言ってずっと持たれていた手をグイッと引かれて倒れこんだわたしを漆葉くんが受け止めてくれた。
その結果、わたしは漆葉くんの膝の上に乗ってしまっていて、若干跨っているような感じになってしまっている。
うん、かなりやばいね。この状況。
もう心臓の音がうるさいどころの騒ぎじゃなくて、耳に鼓動が響いてくる。
「ちょ、漆葉くん……!こんなのダメだよ!誰かに見られたらまずいよ!」
相手は超人気アイドルの漆葉善くん。
誰かにこんなところを見られて勘違いでもされたらわたしだけじゃなく、漆葉くんまでも終わりだ。
「なんで?てか、やっと敬語じゃなくなったね、柚音ちゃん」
「ひぃ……っ!」
耳元で喋らないでよ。
そんな甘い声で名前を呼ばないで。
吐息の触れたところがじんじんと熱を帯びていく。



