パーフェクトな君の弱点。



教室の真ん中に大きなグランドピアノが置かれていた。
一般科ではあまり音楽の授業はないって言ってたから普段は使われていない教室なのかもしれない。

でも……こんなに綺麗なピアノなのにもったいない。


「なにぼーっとしてんの」


「へ?あ、ご、ごめんなさい!」


椅子に座っているから漆葉くんが下からわたしを見上げている。

アーモンドのような茶色い瞳がじっとわたしを見つめていて、その目に吸い込まれてしまいそうになる。


完全に自分の世界に入っちゃってた。
それにしても漆葉くんって本当に綺麗な顔してるなあ。


「ごめんって思ってるならここ座って」


「……は?」


とんとん、と自分の膝の上を叩く漆葉くん。


えっと……状況が上手く読み込めないんですけど。

どこに座ってとおっしゃってます?