パーフェクトな君の弱点。



「え、名前……?」


「俺だけ知られてるのはフェアじゃないじゃん?」


確かに言われてみれば、わたしだけ勝手にネットで検索して知って、漆葉くんはわたしのことを全く知らない。
まあ、名前くらいならいいよね。


「漣柚音……です」


「へえ……柚音か。可愛い名前だな」


それは褒めてもらってると思っていいのかな?
それとも名前負けしてるよって意味なのかな?

この名前は気に入っているけど、わたしレベルの顔じゃ名前負けしているような気がして素直に喜べない。


「あ、ありがとうございます……」


とりあえずお礼は大事だし、言っておこう。


「こっち来て」


「え?」


手を引かれて、奥へ連れてくると彼は適当に椅子を引いてそのまま座った。

今まで漆葉くんに気を取られていて気づかなかったけど、ここって音楽室だったんだ。