「にゃにすんだほ」
“なにすんだよ”と言ったつもりの彼が眉間にシワを寄せて怒っている。
「わたしがどれだけ善くんのこと好きか知らないでしょ?これはわたしをたくさん泣かせた罰です」
そう言って、柔らかいほっぺたをむにむにと触る。
「にゃめろよ」
“やめろよ”もちゃんと言えてなくて、思わずふふっと笑い声が漏れた。
「ていうか、善くんが作った曲、聴いたよ!さっきもピアノで弾いてたよね!?」
わたしが来る前に弾いていたメロディはわたしが沙綾ちゃんに聴かせてもらったのと一緒だった。
「え、聴いたの。それは嬉しいけどちょっと恥ずいかも」
ようやく、わたしの手から解放された彼は頬をすりすりと自分で触りながらほんのりと頬を赤らめてぼそりと言った。
「めちゃくちゃいい曲だった!毎日聴きたいって思うくらい!」
本当に忖度なしで、歌詞とメロディが合っていて、そこに彼の甘い歌声がプラスされていて、ずっと聴いていたくなるくらい大好きな曲になった。



