「ほんとだよ。なーんにも話聞かずに出ていっちまうから」
「善くんに振られると思ったら怖くて、どうせ別れるなら自分から言っちゃえと思って……」
今考えても本当にバカだったなとは思うけど、あの時は考える余裕なんてなくて必死だったんだ。
記事を読んで、混乱してたっていうのもあるけど。
「俺、嫌われたかと思ってた」
ごろん、とわたしの太ももに頭を乗せて寝転んでいる善くんが少し口を膨らませながら言った。
「嫌いになんてなれないよ。こんなに好きなのに」
彼のサラサラな髪の毛をそっと撫でながらそう言えば、
「柚音ちゃんのこと好きすぎて頭おかしくなりそー」
と、少し困ったようにへらりと笑って自分の額に手の甲を乗せた。
「おかしくなるのは困るね」
「柚音ちゃんのせい」
「またわたしのせい?」
「こんなに好きにさせた柚音ちゃんが悪い」



