「そんな……」
大切にしたい人って……?
そんなこと聞いたらわたし自惚れちゃうよ?
「心底愛おしそうな顔してその子のことしか好きになれないとか言われたらさすがに諦めるしかないよね~。でも、同時にあたしは善にあんな優しい顔させることはできないなあって思っちゃった」
「沙綾ちゃん……」
「あたしの完敗だよ、漣さん」
少し切なそうに、でもどこかスッキリとした表情で笑った彼女はとても綺麗だった。
「教えてくれてありがとう」
でも、わたしから一方的に振っちゃったから善くん怒ってないかな?
「あと、もう一つ。Siriusが今週リリースしたアルバムに入ってるZENのソロ曲ってもう聴いた?」
沙綾ちゃんの言葉にわたしは首を左右に振った。
すると、彼女は黙ってポケットからスマホを取り出し、スイスイと操作してから、ワイヤレスのイヤホンをわたしに差し出してきた。



