SNSではどうやらZENくんのソロ曲は今回は本人が作詞作曲をしているらしく
その曲が最高にやばいという情報しか得ていなくて、どうやばいとかは知らないまま。
なんか聴く勇気が持てない。
「ゆのたん、今日は上埜先輩?」
お昼休みになり、希織ちゃんがわたしに尋ねた。
「うん、今日こそちゃんと伝えようと思って」
あれからカズくんは時間が合えば一緒にいてくれて、わたしを励まし続けてくれた。
だけど、カズくんのこともう一度異性として好きにはなれなくていつまでも彼の優しさに甘えていてはいけないと昨日決意した。
「そっか。ゆのたんが決めたことならわたしは応援するよ」
ふっと優しく目を細めて笑った希織ちゃんにわたしも「ありがとう」と同じく笑顔を返して教室を出た。
「カズくん、お待たせ」
「全然待ってないよ」
今日はいつも過ごしている中庭ではなく、人気のない体育館裏に呼び出していた。