『だったら……!』
『でも、俺が彼女じゃないとダメなんだ。誰に何と言われようと俺は柚音ちゃんしか好きになれない。だからごめん。沙綾とは付き合えない』
俺自身がもう柚音ちゃんじゃないとダメになっていた。
彼女と一緒に過ごす時間が俺にとってどれほど大事なもので、手放したくない時間なのかは俺以外の人にはわからない。
でも、無理にわかってくれようとしなくてもいい。
柚音ちゃんのいいところも、可愛いところも全部俺だけが知っていればいいんだ。
『あたしの方が先に好きになったのに……っ。あの日、善があたしを救ってくれたから……っ、善がいたからあたし、今こうしてたくさん仕事をもらえてるのに……っ』
ポロポロと大きな瞳から零れ落ちる涙。
俺はその涙を拭ってはやれない。



