パーフェクトな君の弱点。



こんなに色んな人から視線を浴びていたらわたしが見てることなんてバレないだろうと思って彼を目で追っていると、バチッと視線がぶつかり、漆葉くんがあの日のようにふわりと微笑んだ……気がする。

あ、やばい……。

マスクしてないだけで以前より10倍増してかっこよく見えるし、ときめいてしまう。



「え……ねえ!?今の見た!?」


「見た見た!ZENがこっち見て笑ったよ!!え!!どうしよう!?」



前にいる女の子たちがキャッキャッと騒いでいるけどわたしはそれどころじゃない。

ドクンドクンと鼓動が音を立てて、早鐘を打ち始める。


ま、まさか……わたしが見てたってバレてないよね?

きっと今のだってわたしに向けられた笑顔じゃなくて偶然が重なっただけだよね……?


―――皆さん、ようこそ本校へ。


わたしのドキドキが鎮まることを待ってはくれず、入学式が始まり、理事長が長い話を始めた。

漆葉くんのことで頭がいっぱいのわたしは理事長の話はおろか入学式全体の中身が全く耳に入ってこなかった。