パーフェクトな君の弱点。



―――あの日、俺は沙綾に告白された。


撮影が無事に全て終わり、沙綾にどうしても着いてきて欲しい場所があると言われ、狭い路地裏に連れてこられた。


『なんだよ、こんなところで……』


正直、一刻も早く家に帰って柚音ちゃんを補給したいと思っていたのでめんどくさいと思っていた。


『好きなの』


その言葉が聞こえてきた時には俺の体は彼女の体温に包まれていた。


『……は?』

『あたし、善が好き。彼女にしてよ』


冗談ではなさそうなのは彼女の纏っている雰囲気を見てわかった。

いや、好意を持ってくれていたことには薄々気づいてはいたけど、このタイミングで告白されるとは思ってもいなかった。


『ごめん。俺には大切にしたい人がいるんだ』


そっと、密着している体を離す。


『……漣さんって人でしょ』

『……』