大好きだよ、という言葉は口にはできず、涙で歪んた視界の先で善くんがなにか言おうとしていたけど
聞くこともせずに勢いよく会議室から飛び出して、地面を力強く蹴って、ひたすら走った。
走る度にローファーのコツコツという音が廊下に響いている。
振り向いてわたしを見る人や不思議そうに見てくる人もいたけど、そんなの気にならなかった。
「うぅ……っ、うっ……」
ただただ溢れてくる涙を拭うのに必死で、息をするのも苦しいくらい締め付けられている胸を片手で抑える。
事務所を出ても、彼は追いかけてこなかった。
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