パーフェクトな君の弱点。



「あっ、うん!見たよ!わたしこそ気づけなくてごめんね。

善くんは沙綾ちゃんのことが好きになってたのにわたしなんかが出しゃばって邪魔しちゃって……!

わたしは全然善くんのことアイドルとしてこれからは応援するし、二人はお似合いだからきっと上手くいくよ!」


椅子からガタッと立ち上がり、込み上げてくる涙を必死に唇を噛み締めて堪える。

本当は二人のことを応援なんてできないし、上手くいって欲しいなんて思えない。

わたしは善くんが好きなんだから。
でも、これ以上二人の邪魔はできない。

善くんには好きな人と一緒に楽しく過ごして欲しいから。


「柚音ちゃん、ちょっと待って……」


善くんに『好きじゃなくなったから別れて欲しい』と言われるのが怖くて、彼の言葉を聞きたくない。

そんな言葉を聞くくらいなら物分りのいいフリをしてわたしかは終わらせた方がいい。


「だから、わたしは善くんのファンに戻るから安心して!もちろん付き合ってたことも口外しないし!それじゃあ、幸せになってね。今までありがとう……っ!」