パーフェクトな君の弱点。






「……あ、ありがとうございます」


善くんに指定された場所はなんと彼の事務所だった。

見上げるほど大きなビルの中に入り、受付で名前を名乗るとこの会議室まで案内してくれた。

事務所に呼び出されるなんて絶対にいい話じゃないことくらいわたしにだってわかる。


はあ……気が重い。
許されるならここから逃げ出してしまいたい。


―――コンコンッ


しばらくしてノックが聞こえてきて中に入ってきたのは申し訳なさそうな表情を浮かべた善くんだった。

その瞳は不安げに揺れている。


「急に呼び出してごめん」

「ううん、わたし暇だし大丈夫だよ」


必死に口角を上げて笑顔を貼り付ける。

ドクン、ドクンと鼓動が音を立てて、今から言われる言葉に耳を塞ぎたくなる。

振られる前にわたしから笑って大丈夫だと言ってしまえばいいのかな。


「話っていうのはあの報道のことで……」


わたしは善くんが言葉を発した瞬間、その続きを遮って口を開いた。