パーフェクトな君の弱点。



沙綾ちゃんの言う通り、わたしは振られたんだ。

善くんは沙綾ちゃんを選んだ。

今までが夢みたいな生活だったんだよ。

善くんと一緒にお昼寝して、お家でまったりデートしたり、抱きしめ合ったり、深く甘いキスをしたり、わたしだけに向けられた愛情に包まれた言葉たちも。

全部、全部嘘だったのかな……っ。

次々に溢れ出てくる涙たちを必死に拭う。
胸がぎゅうっと締め付けられて痛いほどに苦しい。

こんなの、酷いよ。

こんなにわたしを善くんでいっぱいにしといて、他の女の子のところになんて行かないで。


「うぅ……っ、ぐすっ……」


何度拭っても止まることを知らない涙が頬を伝う。


「柚音!」


名前を呼ばれた時にはわたしの体はあたたかい体温に包まれていた。


「か、ずくん……?」

「柚音のこと、こんなに泣かせるなんて許せない」


ぎゅうっと痛いほど強く抱きしめられて何も言えなくなる。