「そう、なんだ……」
沙綾ちゃんの口から語られる善くんはわたしの知らない頃の善くんで、仕方のないことだと分かっていても胸がえぐられるようにズキズキと痛む。
「だから今回のドラマで善と一緒だって知った時はすごく嬉しかった……あたしはどうやっても善を振り向かせる。あなたになんか善は渡さない」
強い意志を持った瞳で言い切ると、先程から何も言えないわたしを見て、フッと鼻で笑う。
「体育祭の時はあんな威勢のいいこと言ってたのに今は何も言えないの?そんなんじゃ、簡単に善に捨てられるわよ。まあ、そもそも一般人のあなたと善じゃ釣り合わないわ。じゃあね」
そう言うと、ベンチから立ち上がり前髪をワサッとかきあげてコツコツとヒール音を響かせながら去っていった。
「……釣り合わない、捨てられる、か」
なんとなく、その言葉が頭から離れなくてぽつりと口からこぼれた。
沙綾ちゃんの目は本気そのものだった。



