パーフェクトな君の弱点。



帰り道をトボトボ歩いていると、街中のいたるところにSiriusの二人のポスターなどが目に入ってくる。


善くん、人気だもんね。
彼女として誇らしくもあり、ちょっぴり寂しい気持ちもある。

待ちゆく恋人たちは幸せそうに手を繋いで、肩を並べて歩いている。


わたしと善くんはあんなふうに堂々と手を繋いで街を歩くことなんてできない。

わたしたちの関係を知ったら傷つく人がいるし、迷惑はかけられない。

善くんと付き合うって決めた時からそんなことはわかっていたはずなのに、人って欲張りだなあ。

十分、幸せなはずなのにもっともっとって欲が出てくるから困る。


なんて、ぼんやりと考えていると、


「ねえ」


そんな声と共に後ろからトントンと肩を叩かれて振り返るとそこには菊池沙綾ちゃんがいた。

マスクをして、帽子も被っているから一見だけかわからないけど、先ほどまでしっかり顔を見ていたからわかった。