「うわー、あの二人見て。絵になるねー」
「ZENの彼女が沙綾ちゃんだったら許すわ」
たまたま通りがかった2人組の女の子の言葉が嫌でも耳に入ってくる。
善くんの彼女は……わたしなのに。
沙綾ちゃんじゃないのに。
目の奥が熱くなって、鼻にツンとした痛みが走る。
ダメだ。泣きそう。
こんなところで泣くわけにはいかないのに。
「はい、見たくないものは見ない」
そんな声が降ってきたと共に目を押えられ、視界が真っ暗になった。
「……え?」
「そんな泣きそうな顔するなら俺の方見てよ」
目から手が離れて、視界が自由になった先でカズくんがやるせなさそうに笑っていた。
あー、カズくんも今わたしと同じ気持ちなのかな。
わたしたちの矢印はもう今は絡み合ってはいない。



