《柚音side》


「きゃあー!ZENくーん!」

「こっち向いてー!」


月曜日。

わたしはおろしたての制服に袖を通して、今日から3年間お世話になる高校へやってきたのはいいものの、最近知った名前が聞えてきてまさかと思い、黄色い声のした方へ視線をやって落胆した。

だって、そこには会いたくなかった漆葉善が校門の前で女の子たちに捕まっていたから。


い、一緒の学校だったの……!?


“またね”なんて言っていたけど、もしかして漆葉くんは気づいてたのかな?

部屋に制服をハンガーにかけて、置いてあったし。

絶対に漆葉くんに気づかれないようにしないといけない。


超人気アイドルを家に泊めただけでなく、一緒に寝て、図々しくクリームパンまであげたことをみんなに知られては困る。