「いらないよ~」
「ねえ、これ漆葉くんに送ってあげなよ」
「ええ!?」
ニヤニヤしながら何言ってるの!希織ちゃん!
「絶対、喜ぶよ」
「いや!喜ばないよ!」
こんな写真、送られてきても善くんにとっては迷惑でしかないし、自分から送るとか本当に恥ずかしい。
「だって、お互い会えてないっていうのは一緒でしょ?でもゆのたんはテレビとか雑誌で漆葉くんの顔を見れるけど、漆葉くんは見れないじゃん?それってズルくない?」
「ぐっ……」
希織ちゃんの言葉がグサリ、と胸に刺さる。
ごもっとも過ぎてぐうの音も出ない。
わたしは毎日何かしらで善くんを拝むことができるけど、善くんはわたしの顔を見れるものなんて持っていない。
二人で写真も撮ったこともないし。
あるとすれば、この前勝手に撮られたブサイクな寝顔くらい。



